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あっ、みつかっちゃった。これからもよろしくm(__)m

エイミー・リーの魔力に触れた夜

EVANESCENCE @ Zepp OSAKA 2004/01/29 Thu
 「ベン・ムーディー失踪!」のショッキングなニュースを聞いたのはバンドのチケットを手に入れる直前だった。

 EVANESCENCEを偶然に知ったのはよく行くCD店で新譜の視聴コーナーに「LINKIN PARKの女版」として、アルバム「FALLEN」がセットされていたからだ。

 一聴してすばらしい魅力(魔力か?)に満ちた深遠な音世界に一発で、「ハマって」しまい、LINKINのCDに重ねてレジに持っていった。その後、LINKINはほとんど聴かなかったが、EVAはコンポのターンテーブルに長い間乗っかっていた。

 2003年の夏。FUJI ROCK FESTIVALで初来日したが、そこには行けず、SHIBUYA-AXでのギグにも行けず、2003年中に彼女を観ることは出来そうになかった。秋になり、11月の初めにEVAの来日を知った。自分の中での「旬」はとうに過ぎていたが、やはり一度は夢中になって聴いた彼らのサウンドに生で触れたくてライヴに足を運ぶことにした。

 2004年1月29日(木)。場所は大阪南港のZepp Osaka。17:00過ぎに会場にやって来ると結構多くのファンが来ていた。Hoobasの倍はいたろうか。
アーチストグッズを久しぶりに購入し、開場の時を待つ。

 17時40分。「整理番号順になりますので、川沿いで待っててください。」と係員の指示があり、川沿いに。比較的暖かい日だったが、まだ真冬。やはり寒い。「タフ」でなければロックファンは務まらないな、とつくづく思う。

 ようやく自分の番号が来て吹きさらしの中を待ち、開場となった。

 今夜のファンは女性が多い。特に目立っていたのは黒&白のひらひらゴシックファッションに身を包んだ女の子。まるで日本のヴィジュアル系のライブの様だ。長年、ロックファンをやっているけれど、普通の高校生のカップル(制服で堂々と参加)がいたことには心底驚いた。6,800円は高校生には大金だろう?

 いやはや、時代は変わったねぇ。と思う。

 開演前に流れていたのはヘヴィロックの曲もあったけど、ハードロックの曲もあり、ポップス調の曲もあり、案外楽しめた。
NICKELBACKの「スパイダーマン」のサウンドトラックが流れ、それに続いて1、2曲が流れ、音が静まり……。場内は暗転した。

 緑色のライトの中、メンバーの黒いシルエットが影絵のように浮かび上がる。演奏が始まるとたちまちステージの方に観衆はどっと押し寄せ、「黒山の人だかり状態」になった。ここ日本での彼らの人気の凄さを目の当たりにする。舞台左手から我らが歌姫「エイミー・リー」が歩いてきて、スポットが当たる。「Wathing〜Me〜」と歌うのは、「Haunted」。

 今夜の衣装はブラックのタンクトップにギャザーのかなり入った花柄(薔薇?)の白いスカート。髪はまとめず、ストレートに垂らしている。花?のようなピンクの髪留めをつけている。女の子らしい可憐な感じだが、大輪の花の毒気を感じさせる妖艶なムードも併せ持つ。彼女の登場は正にステージにパーっと花が咲いたようで、華やかな存在感があり、「スター」のオーラを感じさせる。

 雑誌のライヴ評などでエイミーの声がよく聞こえないというウワサも耳にしていたので、「どうかな。」と思ってたけどそんな不安はどこかに吹き飛んでしまった。

 バンドの出す音はツインギターのかなり分厚いサウンドでヴォリュームも大きいのだが、彼女の声は力強く逞しいし、声量もある。これなら大丈夫、きっといいショウになるに違いない。

 以前のライヴでは一曲目に持ってきていた「Going Under」が次に演奏された。赤と緑のライトが明滅し、スリリングなこの曲を大いに盛り上げている。彼らのショウは本当に照明が美しい。この日のライヴでも赤、緑、青、紫、白、などの七色の光のシャワーを堪能できた。こういう演出を見るとやはり「売れている」バンドであることを実感する。

 私はこの曲が一曲目に演奏されると思っていたので一曲目に聴きたい思いも強かったが。エイミーはマイクを手に身をかがめ全身のエネルギーを歌に集中させている。

 曲の後、エイミーの第一声は「コンバンハ、Osaka。」だった。次に「今夜がラストのショウです。」の短いMCの後、3曲目の「Taking Over Me」へ。
 エイミーはハンドマイクを片手に舞台をうろうろと歩いたり、中央から前方に歩み出てきて歌い観客と接触しようとする積極的な姿勢を見せる。観客も一曲目から超興奮状態だ。エイミーの一挙手一頭足に一喜一憂する観客は完全にエイミーの支配下に置かれている。「Taking Over Me」が終わり、エイミーの「Thank You」の控えめな発言があった。

 次の曲はバンドのフェイバリットソングと紹介された。聴いたことのない曲だが、ヘヴィなミドルテンポのナンバーで気持ちよくノレた。ひょっとしてこの曲がバンドの古い曲「Even In Death」だろうか。
Everybody's Fool」は、アルバムを上回るフックの強い演奏で、エイミーの歌声もますます力をそして熱気を帯びてくる。続く「My Last Breath」はアルバムよりかなり重々しく始まった。重低音が腹の底に響く。シャラシャラしたSEもあまり聞こえてこない。エイミーはこの歌に特別な想いを持っている様で、歌い出しから熱唱している。身を捩じらせマイクにすがりつくように、心の底の叫びを吐き出している。音に身を任せ、陶酔しているように時折目をつぶり、体を揺らせたりくるくる回ったりする。一種のトランス状態?になっている彼女にパフォーマーとしての凄さを見た。

 この曲でバンドのギタリスト、ジョンがスピーカーの上に立ちオーバーに観客にアピールしていた。他のプレイヤーは地味なのでなんか妙な感じがしたが、彼はそんなことはお構いなしだ。もう一人のギタリスト、ベンの後任のテリー・バルサモはドレッドヘア!だ。エイミーが髪をなびかせるのと呼応して彼も演奏しながら首を上下させドレッドヘアをなびかせている。他の3名が短髪なのに彼だけ一人、ドレッドなのでちょっと浮いている感じもした。

 次の曲、「Farther Away」を歌う前にエイミーは何故か「スミマセン。」と言っていた。「Farther Away」は、Hoobastankのアルバム「The Reason」中の「Unaffected」に激似のリフがやや軽いナンバーだが、このリフ、ライヴでは全く違った音触で他の曲とも違和感なくセットに収まっていた。これも数ヶ月ツアーを続けてきた成果だろうか。曲が終わり、エイミーが「アリガトウ。ドウイタシマシタ。」となぞのMCを発したら、観客から「自分で言うな」という突込みが入っていた(笑)

 ライヴではよく演奏しているらしい、スマパンことThe Smashing Pumpkinsの「Zero」もエヴァネッセンス風味付けで充分に楽しめた。

 セットの中盤、ステージ中央にエレクトリック・ピアノが運び込まれ、エイミーがピアノ前に座ると弾き語りが始まった。こういう嬉しいサプライズがあるから、私はライヴをやめられないのかもしれない。1曲目は知らない曲だがバンドとの息もぴったりで魅せる、聴かせる演出になっている。
バンドのメンバーが去り、一人残されたエイミーが徐に奏ではじめたナンバーは「My Immortal」。ステージ上は静かな夜の森の中のようで、彼女の周りだけ青紫のライトが包んでいる。この曲を弾く彼女は、女性らしい魅力を放ち、一際輝いて見えた。彼女の弾くピアノも歌同様情感溢れるもので、「素晴らしい」の一言に尽きる。曲のラストでは、再びバンドメンバーが登場し、最後はバンドと共に演奏を締め括った。

 エイミーはまだ座ったままで大ヒット曲「Bring Me To Life」のあのイントロを弾き出した。このまま歌うのかな、と思ったらいきなり立ち上がり歌いだすエイミー。コーラスパートの「Wake Me Up」の部分では、前方の観客の「Wake Me Up!」に続いてエイミーが歌うという掛け合いもありなんか日本のオーディエンスも凄くなったな、と思う。男性ラッパーはギタリストのジョンが担当していたが、アルバムのスリリングな掛け合いとはほど遠い荒っぽい勢いだけのもので残念。。。
間髪入れずに、「Tourniquet」が演奏されるとコンサートは本編ラストに向けて一気に加速度を増す。
 エイミーの喉は疲れを知らない。コンサートが進行するほど逆に声がよく出てくるようで、ますます調子を上げている。バンドの演奏もノッている。ストリングスのイントロダクションが聞こえてくると、次は「Imaginary」だ。アルバム通りの展開に感激する。アルバムより演奏はラウドだが、ライヴにはこの方がぴったりくる。起伏に富んだメロディ、印象的なリフレイン、曲の持つ魅力がよりパワーアップして伝わってくる。ラストでは、METALLICAの「Blackened」調のリフも聴かれ、カッコよかった。思わずMETALLICAのカバーを演奏してくれるのかと期待してしまったほどだ。

 あまり間を空けずにアンコールがスタートした。もうかなりの曲を演ったので、何の曲をするか見当つかなかったけれど、今夜のラストの曲、そして日本公演の最後を締め括る曲は、「Whisper」だった。この曲はアルバム中でも異色のナンバーで、サンプリングの音も多く、クワイヤ(聖歌隊)などもあり、ライヴで再現するには難しい。サンプリングを交えながらも、ツインギターのギターアレンジを大胆にした感じで、ダイナミズムのあるサウンドになっていてショウのラストに相応しいナンバーに変貌していた。ドラマチックな演奏が終わり別れの時が来て、女神は「Goodbye」とだけ告げ、あっさりとステージから姿を消していった。

 FUJI ROCKも、SHIBUYA-AXも見ていないが、ベン・ムーディーがライヴでも大きな役割を果たしていたことは想像に難くない。彼がいなくてもライヴはこなせるが、この楽曲群の創造主の彼が参加しない次のアルバムの音はどうなるのだろうか。
だが、たとえEVAが短命に終わっても、「エイミー・リー」というヴォーカリストはショウビズ界に生き残るだろうと確信できた真冬の夜のライヴだった。


2004年1月31日


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