みんな大好き! Night RangerNight Ranger @ 心斎橋クラブクアトロ 2003/12/05 Friオープニングアクトを努めたのは、コリン・ブレイズ。ギターを爪弾きながら、伸びやかでセンシティブな歌声を聴かせる。とてもいいヴォーカリストだと思った。彼がジャック・ブレイズの息子さんであるということを後日知ったのだが。 オープニングアクト終了後、10分の休憩を挟んでいよいよ、Night Rangerの登場だ。観客は30〜40代くらいが多い。久しぶりにコンサートに来たと思われる会社員風の人が多く、さながらそこは「Night Ranger同窓生」の同窓会場のようでもあった。 1曲目から「どーして、そんなに歌えるのー?」とびっくりしてしまうくらい、観客は歌っている。ホントに凄い、次の曲もその次の曲も観客はバンドと共に歌っている。 バンドの方も、この観客の反応に気分は上々。ダム・ヤンキーズ来日公演以来久しぶりに観たヴォーカルのジャック・ブレイズは底抜けに明るい。いつもニコニコと笑顔を見せ楽しそうだ。見ているこちらまでなんだか楽しくなってくる。ギターのブラッド・ギルスは悪乗りしすぎ?とも思えるくらいノリノリでギターを弾きまくるし、ドラムスのケリー・ケイギーも思いっきり力強いビートを響かせる。 私は、ロックに目覚めたのが遅かったので黄金時代の彼らを知らない。今でもこんなにエネルギッシュな彼らだから若い時の彼らは元気いっぱいだったのだろうなぁ、と想いをはせてみたりして。 ヒット曲が多いバンドなので、セットリストはベストヒットのオンパレードになっていて、「Sing Me Away」や、「When You Close Your Eyes」「Goodbye」「Syster Christian」などの名曲の数々を惜しげもなく披露してくれる。 1曲1曲のクオリティの高さと確かな演奏力、ヴェテランの余裕も見せる貫禄のステージングに久しぶりに「聴かせる」ライブが観れたと私はとても幸せな気分だった。どの曲も「一緒に歌える」曲になっていて独特の親しみやすさもあり、ハード・ロックが熱かった80年代の空気が会場を心地よく満たしていた。 観客の"ノリ"の方も現在主流になっている「ジャンピング」や、ましてやモッシュやダイブなどという危険行為もなく、昔ながら?のあの「こぶしを振り上げる」スタイルのノリで、12、3年前のコンサートに来たような不思議な懐かしさがあった。すっかり私も「Night Ranger同窓生」の気分で溶け込んでいた。 この日のコンサートで、私を一番驚かせたのは、ショーの中盤、メンバーが椅子に座りアコースティックセットで演奏してくれた時だった。ジャックが「トミー・ショウ。テッド・ニュージェント…」と口にし、郷愁を誘う穏やかなメロディが奏でられた。それは、あのダム・ヤンキーズの名曲「High Enough」のイントロだった。ダム・ヤンキーズが解散して年月が経ち、もうこの曲をライブで聴くことなどないと思っていた。考えもしていなかったあまりにも嬉しい展開に私は感涙しそうになるほど胸がいっぱいになった。サビの部分では、同窓生達も「Can you take me high enough〜♪」と大合唱している。もちろん私も泣きそうになりながらも歌った。皆がこの曲をよく知っていたのも嬉しい驚きだった。 続いてNight Rangerのナンバーでアコースティックセットは締めくくられ、本来のエレクトリックセットに戻り、疲れを知らない彼らは立て続けにロック色の強いナンバーを数曲演奏した。(曲名知りません、ごめんなさい。) コンサート本編ラストはダム・ヤンキーズ「Coming Of Age」に続いて大ヒット曲「Don't Tell Me You Love Me」。いわゆるタテノリの曲でこの夜初めて同窓生達が突然ジャンピングをし始めた。みんなこの曲が大好きみたい。例によってサビの部分は大合唱。もちろん私も。大盛り上がりで演奏を終えるとメンバーは一旦ステージの袖に入って行った。 あまり間を置かずにステージに戻ったバンドは、やや落ち着いたムードの楽曲をしっかりと演奏し、ヴェテランの風格を見せ付ける。でも、最後は明るく「Rock In America」のイントロが弾き出され、「待ってました!」の感もあり、観客も大喜び。この曲のギターソロは2人のギタリストのスタイルがはっきりとわかる。スピードを重視せず、フィーリングに任せたエモーショナルなプレイを聴かせるブラッドと速弾きプレイも弾きこなす技巧派ジェフ・ワトソン。ツインギターのお手本のような2人のギタリストは好対照でNight Rangerのサウンドの要ともなっている。2人のギタリストはそれぞれスポットライトを浴び、Night Rangerがツインギターバンドだということを改めて強く感じさせてくれた。 「Rock In America」が終わり、いよいよ本当に最後の時が来て、バンドはステージを去って行った。照明の落ちたステージを見つめながら、次の来日公演にもきっと足を運ぼうと私は心に誓っていた。
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