ヴォーカルは両刃の剣突然だが、私は「強いヴォーカル」が好きだ。存在感のないヴォーカル、バンドの音にかき消されるような「弱いヴォーカル」ならいなくてもいいとさえ思う。当然のごとく好きなヴォーカリストもROLLING STONESのミック・ジャガーに、BON JOVIのジョン、HEARTのアン・ウィルソン、HANOI ROCKSのマイケル・モンロー、元SKID ROWのセバスチャン・バック、ちょっとマイナーだけどMASQUERADEのトニー・ヨアンソンetc.etc、こってりとしたコクのある声の人ばかりである。好きなシンガーに共通する点は、歌っている声の生々しさと言おうかコンポから唾が飛んで来そうな迫力のある歌声。これにめっぽう弱い。それにちょっとハスキーめ?な声を出すヴォーカルに弱い。デス声は苦手だけど。 ハスキーな声も魅力的だけど、ハイ・トーン・ヴォイスも大好きだ。TNTのトニーのハイ・トーンには痺れる。長時間聴くとちょっと疲れるけど。とにかく声に特徴のある人がいい。歌の上手い、下手とかは全然わからないけど。曲とヴォーカルが気に入っただけでアルバムを買ってしまうなんてことはよくあった。何しろ、私は日本人。英語はあまりわからないので、何を歌っているか、またどういう気持ちで歌っているかなんて分からなくて当たり前。ヴォーカルも音。これなんである。 ヴォーカルを音として考えたら、「弱いヴォーカル」ではやはり悲しい。ヴォーカルもギターやキーボードと同じようにいやそれ以上に「前に出て」くれないと曲を聴く気さえ失せる。今ではそれでもバックの演奏とかを聴く余裕?も出来たけれど、特に若いときは「ヴォーカル至上主義」だったんで、ヴォーカルが気に入らないと曲も好きにならないし、またなれなかった。考えてみれば、演奏は上手いがヴォーカルは弱い多くのバンドを聞き逃しているだろうなぁと多少反省したりもする。(まっ、別にいいか。) バンド側から見ても、ヴォーカルに力のあるバンドほど長く活動していける可能性は高いはずだ。良い曲と、いいヴォーカリストがいるとバンドは最強の剣を持ってシーンに切り込んでいけるのだと思う。楽器を持ったことのない私のようなド素人のリスナーはヴォーカルの声を重視して曲を聴いてしまうので、それは仕方ないし、事実バンド側もヴォーカリストの人選には神経を尖らせているはずだ。 強いヴォーカルは最強の剣だが、この剣、悲しくも「両刃の剣」で、上手く行くときは切り込み隊長よろしくバンドをひっぱっていってくれるが、一度上手く行かなくなるとバンド自体も切り裂いてしまう力を秘めている。過去にもヴォーカルが変わってバンド自体が解散してしまったり、上手く行かなかったケースは数え切れないくらいあったし、現在もそれは同じだ。 大体においてヴォーカリストはエゴが強い。ヴォーカリストがソングライティングに貢献し、バンド自体のリーダーであったりすると、メンバーもヴォーカリストに尊敬の念?すら抱いて、「兄貴、ついていきますぜ。(笑)」なんて感じになるのだろうけど、曲作りにほとんど関わらないヴォーカルなのにエラそうだったりジコ中だったりすると、他のメンバーは、「なんで、こんなヤツがバンドにいるんだよ。」とかって思っちゃうみたいだ。そんなヴォーカルに限ってファンにはやたら人気が高かったり。こうなりゃ、メンバーもますます面白くない。で、その結果が「××(ヴォーカルの名前)、○●(バンドの名前)をクビ」なんて事態を招いちゃう。やっぱりファンならそんな事実は悲しいし、受け入れがたい時もある。 でも100歩下がってバンド側から見てみれば、バンドを切り裂くヴォーカルならいらないんだろうし、仕方ないのかもね。ともかくバンドの本当のファンならバンドにも幸せになってほしいもんね。でも、音楽には妥協しないでほしいな。仲良しクラブじゃないんだから。
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